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大昔、生物学者になりたかった40過ぎが、今また再チャレンジ

2021/10/15金の日記:『豊饒の海』第三巻、読み終わったけど、気分悪いわ

今日は、午前中にちょっと人と会う用事があり、有意義な時間を過ごした。その後、またすぐに地元に帰り、『豊饒の海』第三巻を読み進め、なんとか夜になって読了することができた。
 
人間の醜さをもろに直視して描き切るこんな文章を、今まで読んだことはなかった。確かに俺の見聞は広がったのを感じる。
 
光と影はワンセットで見えてくるものなんだ。第一巻は息を呑むような美しさだったが、それは第三巻が汚さを一手に引き受けてくれた上でのことだったんだと思う。
 
さて、明日から最終の第四巻の読書に入るが、心をあまりにも持ってかれすぎないようにちょっと注意しないと。やっぱり、生まれ変わりという奇跡を小説の中で現実のものとして書くことにこだわった三島由紀夫は、そこに粘着せざるを得なくなっていた何らかの理由を持っていたんだと思う。その理由を、本人も最後までとうとう解明することができないまま、最後は自決へと進んでいってしまったんじゃないかな。
 
どす黒い読後感。こんな小説が普通に本屋の店頭や図書館の書棚に並んでることこそ奇跡だわ。
 
ああ、気分が悪い。