説明責任の行き届いた社会を目指して

大昔、生物学者になりたかった40過ぎが、今また再チャレンジ

芝浦と場の「お肉の情報館」を見学してきた

叔父から勧められた本を読み、これはぜひとも芝浦と場に行ってみるべし、と、品川まで足を伸ばした。

 

順々に説明します。まず、読んだ本は、『いのちの食べ方』(森達也著)。これ、この角川文庫版を読む前に、別で一度読む機会があり、今回は俺にとって再読である。

 

その本では、食肉の処理の仕方についてが、ざっくり解説されている。勉強になる。

また、それに付随して、食肉関連の仕事をしてる人に対する差別についても説明されてる。

 

で、この『いのちの食べ方』の中で、行ける人は芝浦の食肉生産工場に一回見学に行くと良いよって書いてある。ので、ちょっと調べたら、「お肉の情報館」っていう施設が、すぐにでも行けそうだった。ということで、早速行ってきた。すぐに感想をブログにアップすべく、すぐ隣の近代的なビル、インターシティってとこで、地下一階のマクドナルドでこれを書いてるところである。

 

お肉の情報館では、日本の食肉文化の歴史の解説パネルがあったり、牛や豚が皮を剥がれて内臓を取られて半分になったやつ(枝肉という)の実寸台の模型があったり、と殺に使われた実際の道具が展示してあったりした。で、パソコンでDVDが見れる席があり、そこで俺、28分のビデオをバッチリ見させてもらってきた。そのビデオでは、事前に『いのちの食べ方』で予習した通り、牛なら眉間にショックを与え、豚なら炭酸ガスで気絶させて、その後、しめて血液を抜いて…という一連の流れを動画で見ることができた。

 

お肉の情報館の窓口のおじさんに聞いてみた。DVDじゃなく、実際に生で、牛とかを処理する現場を見学は出来ませんよね?と。そしたら、やっぱり無理みたい。うーむ、残念。

 

それから、お肉の情報館の展示の中で一番ショックだったのは、食肉処理場で働く人への差別的な手紙の生の筆跡。手紙の便箋いっぱいに、差別的な侮蔑的な言葉がびっしり書いてあった。いやー、頭のおかしい人っているんだなって、これも勉強になった。でも、もしかしたら、俺自身も、知らず知らずのうちに誰かを差別してるのかもしれない。ちゃんと自分をかえりみて、常に反省し、改善しながら今後もベストを尽くして生きてくしかないよね。と、思いました。

 

あと、思ったのは、ちょうど一年くらい前だったか、ベトナム人技能実習生のある人が、豚を盗んでマンションの一室で解体してたっていうニュース、あったよね。皆さん、覚えてますか。あれは俺的にはかなり面白いニュースだった。いや、豚を盗まれた畜産業者の方には大変申し訳ない面白がり方で、申し訳ありません。だから、そのベトナム人の彼には、ちゃんと刑務所で罪を償ってきてもらわないと。でも、刑期が終わったあと、彼には日本社会でちゃんと活躍の場が与えられるべきだと思うんです。豚の解体ができるなんて、専門技術者であり、高級人材じゃないですか。「豚を盗んでマンションの一室で解体」。なんと、日本人の意識構造を根底から覆すエネルギーにあふれてることだろう。彼のような人がベトナムにもっとたくさんいるんなら、日本人はもっともっと、彼を含めそのようなベトナム人の方々と付き合いを深めていくべきだと思うね。食べる肉を作るという行為のイメージをぐっと身近なものに変えていく、彼らは日本社会のゲームチェンジャー足りうるよ。

 

芝浦にて、そんなことをつらつら考えました。