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大昔、生物学者になりたかった40過ぎが、今また再チャレンジ

『ちいろば先生物語』読書感想。戦争を経て生き方に迷い、そこから立ち直っていく姿に励まされた

たった今、『ちいろば先生物語』を読み終わったところ。

 

すごい本だった。戦争体験の記述を読んでるときは、こんなつらいすさまじい話、この本のクライマックスはここだなと思いながら読んでたが、どっこい、牧師になってからの生き様も軍隊生活のときと同様苛烈なものであり、ちいろば先生が一生を通じて激しく生き抜いたことが克明に文章化されていた。

 

まだ読んでない人のために、つたない俺の筆だがちょっと紹介文を書いてみる。

この本は、カテゴライズするならいわゆる伝記で、「ちいろば先生」すなわち故榎本保郎牧師の人生を描いたものである。だから、キリスト教の話がドッカンドッカン出てくる。

でも、キリスト教に関心がない人にもこの本は貴重な記録を含んでると俺は思う。戦時中、彼が代用教員として、また軍隊に所属して、どういう考えでどういう行動をとってきたかを知ることは、少なくとも、戦争の直接体験のない俺にとって、とても勉強になった。

また、本の中盤を成すキリスト教牧師としての生活の描写も、丹念に読む必要がある。この中盤で、どのような哲学で生きてきたかを知り、その上で、終盤で描かれる彼の死に様を読むと、ああ、本当に、ここに信念に生きた一人の人間がいたのだと、その事実に触れ、背筋が真っ直ぐになる。

 

京都に新しい教会を興し、人気を博したまさにそのタイミングで、「榎本教にはしたくない」と、新天地に移る姿など、本当にすごい人だと思った。

あとはやっぱし、戦争を経て、自己嫌悪に苦しむ姿が印象的だった。彼がそこから立ち直っていった過程を知ることは、令和の現代においても多くの人を励ますことだろう。

おすすめの本です。