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大昔、生物学者になりたかった40過ぎが、今また再チャレンジ

『新しい科学3』(東京書籍の中3向けの理科検定教科書)読書感想文

東京書籍という出版社が出してる中3向けの理科の検定教科書、『新しい科学3』を読み終わった。その感想文を、読んだ直後のこのタイミングで、書いておきたい。

まあ中3のを今読んだというからには、中1,中2のも読んだわけで。中学3年間の学びの全体像に対しての感想も、書きたいところだが。なんだかあんまり書くことが見つからない。

今更ながら、多分そうなんじゃないかと思い始めたのが、中学校の先生しか入手できない副教材みたいのがすげえ充実してるっぽいんだよね。「終章」ってとこの扉のページにデカデカとイースター島のモアイ像が写ってるんだけど、なんの説明もないまま終章の内容がスタートする。多分、授業では、イースター島で昔あったであろう木材の過度な伐採による文明の滅亡についての動画教材を、流すんじゃないか。そういうの、英語の三省堂の教材でも同じようなパターンの動画教材があるっぽいんでね、多分それで間違いないと思う。うーむ、見れないのは悔しい。

まあでも、塾講師という俺の立場からして、教科書をじっくり読んでみて、非常に得るところはたっぷりあった。内容はよく吟味されていたし、文章も名文だったと思う。

うーむ、あんまり気は進まないのだが、マイナスなこともちょっと書こうかな。いや、諸事情で、別の出版社、大日本図書ってとこが出してる『理科の世界』っていう検定教科書も読む機会があったんだけど。その本と比べて、宇宙科学のところの記述が、あんまり面白くなかった…すみません、直接的な物言いで。いや、これは、理科の世界が特別面白かっただけで、新しい科学は普通だったんだよ。うーむ。なんか、理科の世界では、「元素は循環して姿を変えながら繰り返し使われるんだから、我々の身体も昔は宇宙の塵だった、だから星空に惹かれるのは自分のルーツを探ろうとしてるからだ…」みたいなロマンティックな記述があって。

まあでもそういうので言うなら、新しい科学3で印象に残ってるのは、再生可能エネルギーのとこで、「世界中がネットワークでつながれば、世界の昼の箇所で太陽光発電した電気を世界の夜の箇所へと送電できる、ただしこれは世界が平和じゃなきゃできないことだが」みたいな文章があり、俺は非常に面白く読んだ。

なんだかな、中2の範囲と比べて、中3の範囲は、高校への準備という色彩が強い気がするよ。だから、もっと本格的には高校で学びましょうね的なノリを随所で感じた。あと、理科は、やっぱり実験を実際やってみないと面白くないよ。だから!実験の動画を、一般向けにも販売して欲しーい!

ま、それでも、各単元、まんべんなくしっかり理解させ、読ませる内容にまとまっており、一回読んだらそれで放り投げるような読み方じゃなく、高校入試に臨むなら、この教科書を座右に置いて、いつでも参照できるようにして過去問などに取り組む。そういう使い方に十分耐えうる、クオリティの高い本でした。

えーと、あとは、また例によって全体を読み終わったあとで遅遅、教科書記載のQRコードから飛べるインターネット無料副教材も、中1から中3まで通しで今さっき全部ひと通り見てみたんだけど。実験そのものの動画とかじゃあないんでそこは物足りないが、しかし、まあそこそこ充実してた。てか、先に見とくべきだった。理解の助けになるんで。化学の分子の粒子モデル動画とかも、まあ良かったと思う。あと、中1のでだったかな、楽器職人のインタビュー記事が3人分載ってて、そのラストのイタリア人のおっちゃんの文章が一番俺は面白かった。一読の価値アリなんで、これから読む人は楽しみにしててください。琵琶修復師の先生です、この人。

てか、中学校の先生でもないのに、短期間に出版社2社分の理科の教科書を集中して読んだもんだから、さすがに飽きが来たかも。検定教科書はどれも検定を合格してるわけで、その水準は政府の折り紙付きで、通常は一社読めばそれで充分、ということが間接的にわかったわ。よっぽどのことがなければ、一社読んだら、その後は、必要に応じて、高校入試の過去問とか、高校の検定教科書とかに、読み進んでいくのがよろしい。そう思う。