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『CROWN English Communication II New Edition』(三省堂の高校英語の検定教科書)読書感想

三省堂の高校英語の検定教科書、『CROWN English Communication II New Edition』を、読み終わった。その読書感想文を、ここに書く。

最近、中学校の検定教科書を各科目バーッと読んだ経験から、この今回の教科書に対しても、俺、ぴーんと来た。3年間のカリキュラムの中で、いちばん大事なのはこの2年目だな、と。いやね、このCROWNだけど、English CommunicationはIからIIIまであるんですよ。で、多分、高1,高2,高3と対応してるんだと思う。で、今回俺が読んだIIは、だから、高2生が読む本なんじゃないか。で、1年目は導入、3年目は次のステップへの準備。で、この2年目ってのが、一番本気でがんばってもらいたい、能力を実際伸ばす期間と位置づけられてるんじゃないかなって、思うんだよね。

Iに引き続き、IIも、良質な内容の英文がポンポンと並んでて、読者に将来の夢を描かせるように仕組まれてる。その点、素晴らしいと思った。特に良かったのは最初のLesson1と最後のLesson10かな。劇作家の平田オリザさんの、10代の頃の自転車世界一周の話と、イギリスのおじいちゃんが孫に絵手紙を送り続けた話。走れメロスが中2の国語の教科書のラストに配置されてるように、平田オリザさんの話も意識して高2教科書の初っ端に配置されてるんだろうな。充実した高校生活を促す、にくい演出だ。

で、英語の教科書としての俺の感じ方だが、そうだな。結構分量が多くて、やりごたえがある。で、上でも言ったけど、実際ここで読者の英語力の向上を狙って、微妙に微妙に、Lessonを先に進むごとに、英文のレベルが、じわじわ上がっていってる気がする。だんだん、英語の英語らしい言い回し、日本語とは違う発想法がもろに出た英文が、小出しながらも徐々に増えてって。で、最後の「Optional Lesson」で、アメリカの作家がしゃべったある大学の卒業式でのスピーチへと進む。このスピーチ原稿は、あえて、それまで小出しにしてた、英語らしい、日本語とは違う思考回路による言い回しをドカーッと出してきてる。このOptional Lessonを読んで、ああ、今まで読んできた教科書の英文は、まだまだ甘かったんだな、と、ここで生徒は気づく。そういう構成になってる。で、でも、今後ホップ、ステップで、こういう本物の英語へも食らいついていけるだけの、基礎学力は、Lesson10まででまあ出尽くしてるわけで、ちゃんと復習しながら、慎重に何回も繰り返し取り組めば、このスピーチ原稿、理解できる。そのように調整されたレベルの英文になってる。そこらへん、本当に、教科書執筆者は編集が上手だなあと感心しちゃう。

ああ、あと、このIIの真ん中あたりから、三省堂が別で出してる、この教科書完全準拠の単語帳を並行して読み始めた。これ、便利だったんで、おすすめします。今の俺の実力では、慎重にまず単語帳に目を通しておけば、最初に朗読CDを聞きながら本文を読んだ時に、80%くらい意味がわかっちゃう。でも、難点なのは、単語帳に目を通すのに、かなり時間がかかること。まあ俺がこれを読む目的は、ゆくゆくこれを使っての中高生指導だから、単語帳がいかに学習指導に有効かどうかこそが問題になってくるんだけどね。うん、悪くないと思います。その点でも。だから、三点セット:教科書本体、朗読CD、単語帳。これをまず揃えるべき。でも、新課程になったら朗読CDがなくなってウェブからのストリーミングのみになるのかな?心配。

そんなところかな。本当に、検定教科書は、文科省肝いりで、すごい先生方が心血注いで作った本だから、素晴らしい。素晴らしすぎて、市販の教科書は影響を受け、「検定教科書で勉強できるレベル」の本ってのが、そっくりマーケットからなくなってるんよ。多分。で、検定教科書できっちり勉強した人向け、ってのと、検定教科書の素晴らしさを分かってない人向け、ってのが、書店の書棚に並べて置いてある。本当に伝えなきゃいけないメッセージは、「検定教科書は素晴らしいので、やらないのはもったいなすぎる」っていうことなんだけど、金儲けしないと生きていけないこの社会では、なかなか、そういう大切な事実が得てして声が小さくなり、かき消されていく。ので、このブログ記事では、何回も繰り返します。検定教科書には日本の知恵の粋が詰まっていて、それを安価に入手できる(教科書販売所で!)。勉强し直そうとするなら、まず中学の、そして高校の検定教科書をやるのが、王道だと、俺は思うんです。