説明責任の行き届いた社会を目指して

大昔、生物学者になりたかった40過ぎが、今また再チャレンジ

『マネジメント』日経BP版の第4分冊(最終巻)を読み終わっての感想

ドラッカーの『マネジメント』を、最終巻まで読み切った。その感想を書く。
 
このIV、すなわち第4分冊は、かなり難しく感じた。組織の仕組みの話とか、実際経営者になって組織を動かした人じゃないとわかんないような話のオンパレードだったように思う。かなり背伸びしての読書体験だった。
 
でも、大事なことを書いてくれてるんだろうなっては思う。だから、本当にこれ、本物の古典なんだろう。金や生活のために書かれた本じゃない。ドラッカーの良心によってつむぎ出された本で、つまり一言で言うと古典、すなわち文化遺産ということだ。
 
最後の方で、マネジメントに欠かせない要素として道徳心が必要だ、みたいな話が出てくるが、これは俺もホント、同意。人を人がコントロールする、っていう関係って、必然的に社会の中に存在しちゃう。俺が今やってる塾講師だって、そうだ。その、影響を及ぼす側に立つ人は、そりゃモラルがなきゃ論外だわな。
 
あとは、そうだな、これで最終巻を読み終わったんで、『マネジメント』全巻を通しての感想もここに書きたい。いや、立てるべき目標の8つのカテゴリってのと、目標管理、すなわちマネジャーは自分で目標を立てそれに自らを縛らせて自主的に規律を作り出していくべき、っていう話の、2つ。この2つが、良かった。そのとおりだと思う。ただ自然科学の本ではないな。断定、言い切りをかなりの程度含む。しかし、その断定、言い切りが、いちいち納得できる、もしくは実務経験を詰めばそういう結論に至るだろうと予感できるものばかりなので、自然科学ではないけど、経営科学だということで、これは一つの学問分野なんだ。てか、この『マネジメント』をもってして、経営学っていう学問がちゃんと確立したのかもな。
 
数式を使わずにここまで色んな事を網羅して書いてくれてる本は、俺の知ってる小さい範囲では、ほとんどない。聖書くらいしか、ないんじゃないか。いや実は俺、13年くらい前に大病して、数年くらい本がまともに読めない状況だったんだ。その時、後悔したのが、あっ、資本論と聖書とマネジメントを読んでおけばよかった、って思ったんです。本が一生読めないままかとその時は観念したんで。ところが、本当にラッキーにも、本も読めるまでに回復した。ので、上記3つの本を、全部読破した、というわけっす。
 
マネジメント、面白かった。大人の本って感じ。営利企業という存在の大事さも、よく分かる。企業が生み出した利益により社会が回ってくというのがすべての根幹だ、みたいな話が実にしばしば出てくるんで。会社勤めの人へのエールになってる。この本は、今後も何十年と、エールを送り続けることだろう。古典的名作の名に恥じない内容でした。