聖燈社という出版社から出ている、榎本保郎著『ちいろば』を、地元の図書館には置いてなかったことから、近所の本屋で先日注文してあった。
夕方、その本屋から『ちいろば』が届いたと電話が入り、で、さっき買って。で、先に物理の勉強からやろうと計画してたんだけど、結局方針を変え、『ちいろば』から先に読み始めてしまった。で、図書館の閉館時間も過ぎ、夜のマクドナルドにて、今、とうとう丸々読み終わってしまったところ。読書感想文を書き残そうと、Macを開いた。
今日のお昼すぎまで、三浦綾子著『ちいろば先生物語』を読んでた。その主人公「ちいろば先生」本人が書いた本が、たった今読んだ『ちいろば』。
結果的に見れば、『ちいろば先生物語』で背景知識を予習してたことになる。『ちいろば』を読むに際し、その予習は理解の助けになった。ただ、ところどころ、『〜物語』では表現やストーリーそのものがマイルドに丸められた詳細も見受けられ、そのような箇所にハッとしながら『ちいろば』を読み進めた。本人による生の声に触れる醍醐味であろう。
名を成した作家である三浦綾子の文章と比較してしまうと、一つの本として、独立した文芸作品としての完成度という点ではやはり、比較してしまうからだが、物足りなさは感じる。例えば、軍隊生活の中で具体的にどんな経験をして、その結果心に背負った重荷はいかなるものであったかについて、ぜひとも知りたいところであるが、『ちいろば』ではそれについて触れられてはいない。『〜物語』は、そのような点についてこそ分厚く詳細な記述があり、榎本保郎という人間をありありとイメージするのに必要な情報が栄養バランス良く吸収できる。
しかし、そういうこととかも超越してるんだろうな、とも思う。榎本先生がこの本によって世の中に与えているインパクトとは。例えば、場末のちっちゃな教会とかで、道がひらけなくて苦しんでる人が、ふと共用スペースの本棚においてあるこの本を手に取り、何の気無しに読んで、感銘を受けてその後の人生の道が開ける。とか、そういう働き方をする本なんだろう。
内容としては、何もなかったところに教会を立ち上げ、そして先々のことを考え自らはそこを離れるまでの経緯が描かれている。その過程で、榎本先生はよく祈る。それが印象に残った。