説明責任の行き届いた社会を目指して

大昔、生物学者になりたかった40過ぎが、今また再チャレンジ

『動的平衡』読書感想

福岡伸一先生の『動的平衡』を、読了した。以下の読書感想文を持って、今日の日記ブログとしたい。

 

記憶の物質的実体を見つけようとした学者がいた事など、俺はこの本で初めて知った。

 

生きているとはどういうことか、どうやって学問的にそれをとらえるか、という、生命科学の基礎を成す問いかけに対し、的確にアプローチしていく。各章の内容が有機的に絡まり合い、読後、読者の心のなかに、生命というもののイメージが立体的に浮かび上がるようになっている。文章が美文なのはすぐ見てわかるが、読んでみて、内容の構成の仕方も非凡で、非常に緻密だと思う。

 

デカルト的な考え方の批判は、耳が痛かった。確かに俺自身も、デカルトの『方法序説』が大好きで、何度も何度も読み直したりしてるから、生物が一種の機械である、という考え方に染まっちゃってたかもしれない。

 

日本語で読める生命科学関連の本の最高峰だと思う。アメリカ帰りであることから、最新の事情についての知識が豊富。でもアメリカかぶれみたいな感じを微塵も感じさせない。本当に自分の頭で責任を持って色々考え、誠意を持ってその考えを伝えようとする姿勢に全くブレがない。非常に見事な本だった。生命科学が好きな人は特に読んだほうが良いと思います。